BNPパリバ、パリ協定に貢献する取り組みでさらに前進
2015年以来、BNPパリバを含む複数の金融機関は、各社の融資ポートフォリオから生じる温室効果ガスの排出をパリ協定の目標に整合させることに力を入れてきました。2018年にポーランドのカトヴィツェで開催されたCOP24では、BNPパリバと欧州の4社は、この整合化を実現するための具体的な共通手法を開発することで合意しました。そして今年の9月21日、この手法の利用に関する最初のレポートを発表しました。この仕組みをまとめたImène Ben Rejeb-Mzah(BNPパリバのCSR部メソドロジー&データ担当ヘッド)に、この取り組みについて話を聞きました。
この取り組みの目的は?
2015年に195ヵ国が署名したパリ協定以来、BNPパリバは地球の気温上昇を産業革命前のレベルより摂氏2°以内に抑えるという目標に貢献するために力を注いできました。この目標を実現するために、BNPパリバは温室効果ガスを最も排出する分野での融資や投資に関する方針を実施してきました。これらの方針は世界で最も厳しい水準のものでしたが、温室効果ガスの削減と気候目標を達成するというパリ協定の目標に私たちの全融資活動を整合させるには不十分な内容でした。
そのため、BNPパリバと4社(BBVA、ING、ソシエテ・ジェネラルとスタンダードチャータード銀行)は、カトヴィツェで行われたCOP24開催中の2018年12月に、各社の融資ポートフォリオが気候変動対策の目標に整合化しているか測定し、資金フローをパリ協定に適合した活動に徐々に向けていく対応能力を調査するという共同誓約を発表しました。
この共同誓約は、BNPパリバの様々なビジネス・ラインによる数カ月にわたる協力の結果を反映したものです。
この取り組みの革新的な側面とは?
この取り組みは、融資ポートフォリオの整合化という目の前の課題、そしてこれを達成するための方法の両面において革新的です。
先ずは、共同の取り組みであること。2018年以来、カトヴィツェで署名した金融機関5社は、もともと投資ポートフォリオ用に開発されたPACTA(Paris Agreement Capital Transition Assessment)というツールを使って連携してきました。最終的な目的は、金融機関とその融資ポートフォリオ用の手法を開発することです。
そして9月15日に融資ポートフォリオ用のPACTAが公開され、カトヴィツェの署名金融機関は、このツールの利用に関する共同レポートを本日発表しました。ここには各社の調査と手法の選択に関する実用性の高い解説が含まれています。
もう一つ重要な点は、PACTAがオープンソースであることです。この取り組みの目的は金融業界を一つにして融資をパリ協定の目標に整合化させることですので、融資ポートフォリオ用のPACTAパッケージは現在2 degrees Investing Initiativeのホームページで無料で使用できます。このパッケージには手法、企業の財務以外のデータ、そしてR言語にコード化されたツールが含まれています。
もう一つは、動的な取り組みであること。ここでは分野別の分析が提案されており、最も温室効果ガスを排出する経済分野、すなわちエネルギー分野を優先して検証されています。他の分野にアプリケーションを拡大すると同時にデータが利用できるようになると、さらなる調整が必要になります。また最終的には、金融機関や業界のステークホルダーによって採用されることにより、さらに改善できるでしょう。
この初期分析から主に学んだことは?
地球温暖化を2°C以下、理想的には1.5°C以下の水準に保つためには、金融フローを低炭素戦略と一致させる必要があります。
そのためには、お客様が投資計画を低炭素技術や活動に方向転換し、投資フローをこの目標に準じない活動からシフトさせ、グリーンな活動への融資を強化するように働きかける必要があります。
またこの分析により、石炭火力発電や非在来型化石燃料への投資引き揚げを加速させるというBNPパリバの選択の妥当性が確認されました。
次のステップは?
PACTAを使ったBNPパリバのエネルギー・ポートフォリオの整合性分析の最初の結果は今後数週間以内に発表されます。この研究は、温室効果ガスを排出するその他の主要分野にも順次拡大していきます。
社内では、リスク人工知能研究チームとCIB分析チームが共同で双方向ツールを開発中です。これにより、リスク・チームのポートフォリオ管理に役立ち、営業マネージャーがお客様のエネルギー転換を分析することができるツールを提供できるようになります。
グローバルでは、できるだけ多くの金融機関がこの取り組みに関わることができるように、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEPFI)が主導する気候変動対策に関する共同誓約「Collective Commitment to Climate Action」や、NGO、メーカーやその他の銀行など様々なステークホルダーにPACTAを提示する外部向けオンラインセミナーの開催などにも取り組んでいます。
※本記事は英語で発行された記事の抄訳となります。原文をご覧になる場合はこちらをクリックしてください。
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