責任ある農業を支援:Le Printemps des Terres社とのインパクト投資の事例

July 20, 2022

インパクト投資とは、経済的な利益に加え、ポジティブで測定可能な社会的影響(または環境的影響)を生み出す投資のことで、目下拡大している市場です。BNPパリバはインパクト投資市場の今後の発展を目指し、BNPパリバとして直接投資することから始めています。グループ全体で今後2025年までに革新的企業へ2億ユーロの資金を投じることを計画し、3つの分野「地域開発と気候、社会連帯の取り組み、自然資本の保全」にインパクトを与えられるよう取り組んでいます。この一環として、Le Printemps des Terres社(フランス語で「大地の春」の意)への投資に着手しました。同社はフランスの信頼できる農家の支援と生物多様性の回復を使命としています。

 

Le Printemps des Terres:生態学的移行を支援

Le Printemps des Terresは使命を重視する企業で、農家が生態学的移行の立役者になることを支援しています。具体的には、荒れた農地・湿地・森林を購入し、それらを持続的に、大規模に、生態学的に信頼できる形で回復させると共に、農家や所有者には収入を生み出しています。

同社は買い入れた土地を農家に貸し、農家が生態系を持続的に回復できるよう支援し、生物多様性の保全・回復や自然の炭素隔離を後押ししています。一方で農家は、環境・生物多様性・気候面の課題に配慮した農業の長期的な継続を明確に保証することを条件に、借り入れた土地を5年目から有利な条件で購入することが可能です。

同社は耕作地、耕作地以外の土地、林地、草原、沼地などあらゆるタイプの土地を対象に取り組みを行っており、信頼できる農家が土地に定住し、環境再生型の農業へ移行できるよう支援しています。また、隔離したCO2の重量や、生物多様性を保全・回復した表面積を測定し、地元の買い手を最優先してカーボンクレジットを売却しています。このような全方位のアプローチを評価し、BNPパリバが投資先として選択しました。

この極めて革新的な手法は創業者2人によって開発されたもので、BNPパリバはその取り組みを長年にわたって把握してきました。創業者の一人Sylvain Goupille氏は、BNPパリバで2005年から2011年まで環境保護対策資金の融資を担当し、その後、森林・海洋保護の先駆的ファンドマネジャーAlthelia(現在のMirova Natural Capital)を立ち上げました。もう一人の創業者Laurent Piermont氏は生物多様性の著名な専門家で、フランス預金供託金庫(CDC)の子会社CDC Biodiversitéの立ち上げに携わり、企業に自社が生物多様性に及ぼす悪影響を相殺する方法を提供しています。

 

BNPパリバの自己資金によるインパクト投資

BNPパリバでは、グループの社会的責任(CSR)チームとグループの直接投資を担当するBNP Paribas Principal Investmentsが共同で、3つの分野「地域開発と気候、社会連帯の取り組み、自然資本の保全」に対する2億ユーロの資金配分を担っています。この体制により、重要かつ不可欠の専門知識を集中的に活かしています。

 

 

それでは、Le Printemps des TerresのSylvain Goupille氏(Associate Director)へのインタビューをぜひご覧ください。

 

荒れた土地の購入を選択している理由は何ですか?

当社が病害、火災、嵐の打撃を受けて悪い状態に陥っている土地や森林を購入し、生態学的に回復させる方法を好むのは、短期的によりポジティブな影響、長期的に回復力を生み出すことができるためです。これにより、気候変動適応に向けたソリューションを導入しやすくなっています。

 

土地をどのような生態学的方法で復活させるのでしょうか?

具体的には、例えば、以下のような方法です。

  • 耕作地に生け垣を植え付ける、または復元する
  • アグロフォレストリー(森林農業)を確立する。例えば、40mおきに木を一直線に植え付ける。
  • 気候変動に耐性があり、かつ、成長サイクルが異なる種を新たに森林に植える
  • 川岸に沿って植生を復活させる

こうした措置により、たとえ当社が農地を少し(5~10%)失ったとしても、生物多様性を回復させ、土壌の質や回復力を高めるため、農家にとっては収量維持となります。また、木を植えることにより、木材販売による追加収入を農家にもたらしています。

 

Le Printemps des Terres社を選ぶのはどのような農家ですか?

大半はその土地で定住している農家です。例えば、家業である農業を引き継ぎたい一方でエコロジカルな農業へ移行したい若者や、単に土地購入資金を十分に準備できない農家などです。今後数年、フランスの農家ではベビーブーム世代の大量引退が生じる見通しで、ほぼ半数にも上るとみられています。もし彼らが自身の農業を売却すれば、生態学的移行にとって著しい機会です。新世代は従来よりも集約度が低い、責任ある農業経営を望んでいるためです。

 

今回、BNPパリバが持分を取得したことはLe Printemps des Terres社の株式資本にとってどのような効果がありますか?

当社の発展にとって、インパクト投資で欧州トップクラスの金融グループとの提携は重要なアセットです。生態学的移行のためには大手金融機関が参画して行動を活発化し、大規模に実行していく必要があります。

 

「私たち両社は一連のファンドの設定に共同で責任を担っており、重要で不可欠な専門知識の統合を可能にしています。この運用チームは持続可能な開発に向けて約40の投資を手掛け、インパクト投資の専門家であると共に、BNPパリバ・グループの専門家でもあり、経営陣が定めた目標に貢献しています。」

Sylvain Taboni BNPパリバ CSR部門 インパクト投資・ポジティブインパクトビジネス推進責任者

 

BNPパリバのインパクト投資チームとの連携についてどのようにお考えですか?

別々の投資家2社がチームを組み、事業の専門家とCSRの専門家が団結するとは極めてユニークです。双方の専門家はあらゆる側面、例えば戦略、ガバナンス、開発プラン、リスク、収益性、生態学的なソリューションや生物多様性のソリューション、法的制約などで課題に取り組んでいます。その上、他の投資家が消極的である中で、多大な付加価値を伴って課題に挑んでいます。こうした体制は当社の前進を後押ししており、今後、長期的に極めて有益になることが期待されます。

 

「私たちは協力し、双方の財務・非財務基準に照らして投資したい企業を選んでいます。それぞれが固有の専門知識を持ち寄っており、その中にはエネルギー移行、生態学的移行、生物多様性、財務分析、関係先や提携企業とのネットワーク等が含まれています。」

Astrid Behaghel BNPパリバ・プリンシパルインベストメント インパクト投資責任者

 

 

※本記事は英語で発行された記事の抄訳となります。原文をご覧になる場合はこちらをクリックしてください。

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