COP26:気候の命運を握る貴重な機会

November 3, 2021

COP26が2021年10月31日~11月12日の日程で英グラスゴーで開催され、気候関連の4つの主要テーマ、「世界的なネットゼロ」目標の堅持、地域社会や自然生息地の保護、金融の活用、パリ協定で設定した目標の達成に向けた連携をめぐる協議が行われました。この記事では「COPとはそもそも何か?」「何を期待できるのか?」といった点を再確認してみましょう。

 

COPとは何か?

COPは「締結国会議(Conference of the Parties)」の略で、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に署名した約200か国・地域が集う年次会合です。UNFCCCは1992年にリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(地球サミット)で採択されました。1995年以降、COPは毎回別の都市で2週間の日程で開催されており、人間活動が気候に及ぼす影響の抑制や気候の混乱への対応を目的に、世界的に重要な決定を下しています。

 

COPの歴史で注目された節目

  • COP3(1997年)は「京都議定書」の採択に至り、先進国全体の温室効果ガス排出量を2008~12年に1990年比で5%以上削減することを求めました。
  • COP21(2015年)は、政府が主体だった従来のCOPとは異なり、それ以外(特に企業)の積極的関与が際立ちました。パリ協定が採択され、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より充分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」を目標に掲げ、195か国が温室効果ガスの排出削減に取り組んでいます。
  • COP24(2018年にカトヴィツェで開催)においてBNPパリバは主要4銀行とともに、自社の投融資ポートフォリオがパリ協定の目標に整合しているか判定し充足に役立てられるオープンソースの手法を開発することに合意しました。

 

世界的なネットゼロ目標が重要な理由とは?

COP26(英国とイタリアの共同開催)は元々は2020年に開催予定で、かねてより大いに期待されていました。参加者の多くは気候変動による最も深刻な成り行きを抑制する最後のチャンスと受け止めています。世界の平均気温上昇を今世紀末までに1.5℃に安定させるためには、温室効果ガスの排出を2050年までに世界的にネットゼロにする目標を達成することが重要です。これまでに131か国や多数の企業・自治体・金融機関が協力し、世界的なネットゼロ達成に向けた目標を既に設定しています。

 

1.5℃に抑制:現実的か幻想か?

地球温暖化を今世紀末まで1.5℃以内に保つには、今後5~10年間に抜本的対応が必要です。パリ協定を締結した191か国のうち、113か国が「国が決定する貢献(NDC)」を初提出する義務を果たしています。しかし、2030年までに計画されている気候関連活動を全て合算しても温室効果ガス排出量のわずか49%をカバーするに過ぎず、1.5℃目標の達成のみならず2℃目標でさえ達成には程遠い状況です。

 

BNPパリバの気候への取り組み

COP21閉幕後の2015年終盤、BNPパリバは融資ポートフォリオをパリ協定の目標に進歩的に整合させることに取り組みました。

これ以降、BNPパリバは数々の顕著な前進を遂げています。例えば、2017年には石炭火力発電プロジェクトへの新規融資を停止し、2020年には石炭火力発電向け融資からの撤退計画を前倒ししています(EU域内とOECD諸国内は2030年迄、その他の地域は2040年迄に撤退)。また、カトヴィツェで連携した欧州主要4銀行との共同の取り組みの結果、パリ協定整合度を評価するPACTA(Paris Agreement Capital Transition Assessment)の適用を記した初のレポートを発表しました。

最近では、BNPパリバは石油とガスの探鉱・生産活動に対する投融資の削減(2025年までに10%)を表明しました。これは2017年にシェールオイル、シェールガス、オイルサンドの探鉱、生産、流通、マーケティング、売買を主たる事業活動とする企業との取引を停止したことに続く対応です。

BNPパリバは2021年4月、「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」に参加しました。NZBAは国際的な銀行の協調で、2050年までに投融資ポートフォリオから排出される温室効果ガスのネットゼロ達成を目指しています。

「BNPパリバは、ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)の創設メンバーとして、投融資ポートフォリオを明確な目標と科学に基づく手法に整合させることに取り組んでいます。この目標達成は単独では不可能のため、BNPパリバのみならず金融業界全体にとっても課題です。したがって、投融資の判定のために私たちが共に推進してきた共通のフレームワーク・手法策定の共同作業は重要な意味を帯びています」

ジャン=ローラン・ボナフェ、BNPパリバ最高経営責任者(CEO)

 

COP26の議題:地域社会、自然生息地、気候変動

COP26の議題の1つは、地域社会や自然生息地を気候変動の影響に適応させることです。陸地と海洋の生態系は、人間活動で生じるCO2排出量のほぼ半分を吸収し、気候調整の点で重要な役割を担っています。しかし一方で、気候変動は生物多様性を減少させ、生態系の悪化を招いています。この悪循環は国連の持続可能な開発目標(SDGs)の一部の達成を阻むことが予想されます。

生物多様性の保全に向けた率先的な取り組みは多数存在し、例えばEpE(環境保護のための企業連合)が主導する「アクト・フォー・ネイチャー(Act4nature)」は企業、公的機関、科学者、協会を団結させています。BNPパリバはAct4natureを通じ、生物多様性の保全に向けた取り組みを2018年に初めて公表し、2021年5月にその強化を行いました。こうしたグループを挙げての取り組みはBNPパリバ財団の活動で補強されており、BNPパリバ財団は生物多様性に関する調査や一般市民の認識向上を通じて後押しを行っています。また、BNPパリバは自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)への参加により生物多様性に対する取り組みも強化しています。TNFDは、企業や金融機関に対し、自然関連のリスク/機会の評価・情報開示に世界的な一貫性を求める国際的な取り組みです。

 

COPとTCFD

G20金融安定理事会は2015年のCOP21開催期間中、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)を設置しました。2017年、TCFD は企業や金融機関による気候関連のリスク/機会の特定、分析、管理、情報開示を支援する提言を公表しました。この提言は多数の企業や金融機関に採用され、BNPパリバも自社の行動についてTCFDの提言に即したレポートを2020年から公表しています。TCFDの補完を目的とするTNFDは、自然関連のリスク/機会を盛り込んだ透明性の高い財務情報開示の枠組みを2023年にも完成させる見通しです。

 

BNPパリバ:金融分野の結集を率いるリーディングカンパニー

COP26は公共・民間部門の気候変動ファイナンスの役割についてや、パリ協定の遂行のため国・企業・社会・市民を結集する課題についても取り上げます。COP26に先立ち、フランス銀行連合(FBF)と仏大手銀行複数行は非在来型石油・ガス分野に対する投融資を制限するコミットメントを発表しました。この共同的取り組みはBNPパリバが2017年に表明した取り組みと同様です。BNPパリバではさらに強化しており、業界で最も厳しい部類の投融資方針です。

また、Financial Services Task Force(英皇太子が設立)の一環として、BNPパリバは他の国際的金融機関11社とともに「Practitioner’s Guide」の策定を手掛けました。この重要なツールにより、多数の金融機関がポートフォリオをネットゼロの誓約にさらに整合できると期待されます。ジャン=ローラン・ボナフェ、BNPパリバ最高経営責任者(CEO)は、「金融はエネルギー転換の加速に不可欠の手段です。BNPパリバの優先事項は、お客様が『ネットゼロ』経済を2050年までに実現するために必要な幅や余地を提供することです」と強調しています。

 

※本記事は英語で発行された記事の抄訳となります。原文をご覧になる場合はこちらをクリックしてください。

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