河野 龍太郎 Weekly Economic Report

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出版のお知らせ『成長の臨界 「飽和資本主義」はどこへ向かうのか』
慶應義塾大学出版会より、2022年7月15日に発売されました。ぜひご覧ください。
本書で扱うテーマを紹介した「はじめに」(PDF: 約0.6MB)をご覧いただけます。
第1章 第三次グローバリゼーションの光と影
第2章 分配の歪みがもたらす低成長と低金利
第3章 日本の長期停滞の真因
第4章 イノベーションと生産性のジレンマ
第5章 超低金利政策・再考
第6章 公的債務の政治経済学
第7章 「一強基軸通貨」ドル体制のゆらぎ ――国際通貨覇権の攻防
終 章 よりよき社会をめざして
詳細は こちら( 慶應義塾大学出版会のリンク:新しいウィンドウで開きます)


エコノミストが選ぶ 経済図書ベスト10(2022年)第9位
日本経済新聞
2022年 ベスト経済書 日本の活路の指針として支持を集めた書籍 第1位
週刊ダイヤモンド
2022年 ベスト経済書・経営書 第2位
週刊東洋経済

「成長の臨界」を考えるためのえりすぐりの書籍を紹介しています
最近のレポート
BNPパリバ証券 河野龍太郎: 1ドル150円台の超円安が繰り返すのか -後編 「好循環」ではなく「金融抑圧の強化」-
No.1007 (2023年6月1日)
前編では、2019年~2022年初頭に、均衡ドル円実質為替レートが円安方向に30%程度、ジャンプしたことを論じた。後編ではその原因を探る。まず一つ考えられるのは、米中の新冷戦開始によって、日本の地政学上の脆弱性が露になり始めた、ということである。それ以上に筆者がより重視しているのは、家計のホームバイアスが様々な要因で緩み始めたという点である。四半世紀にわたってゼロ金利が続いてきたにもかかわらず、日本の家計部門は、金利がゼロの円預金を保有し続けてきたが、その動きが遂に変質し始めた可能性がある。
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BNPパリバ証券 河野龍太郎: 1ドル150円台の超円安が繰り返すのか -前編 円安方向に30%ジャンプした均衡為替レート-
No.1006 (2023年5月31日)
2022年の超円安は、内外金利差では説明できないほどの、大きなものだったという見方は少なくない。FRBが利上げを開始する前の2022年2月末に1ドル115円前後だったドル円レートは、わずか8カ月足らずで、30%もドル高・円安が進み、前述した通り、一時1ドル150円台と、32年ぶりの水準に達した。為替レートは株価や債券価格に比べると、系列相関が強く、つまり一方向に振れると、それが継続しやすい。バブルとはいかなくても、元々、フロス(泡)が生じやすいことが知られている。
日本の財務省は口先介入を繰り返しただけでなく、1ドル146円に達した2022年9月22日、1ドル151円を付けた10月21日と1ドル149円だった10月24日には、単独で過去最大規模の為替介入を実施した。これは、円安バブル潰しを狙ったものだったのか。しかし、日本政府による過去最大規模の連続的な為替介入の後も、1ドル130円台の推移が続き、執筆時点では、再び1ドル140円台に入ったところで、口先介入が行われている。
2023年3月10日に米国地銀の破綻が生じた際、金融システムの動揺を懸念し、一時的に円高が進んだとはいえ、その際も1ドル130円を若干割り込む程度の小幅な円高に留まった。それらでさえ、かつてであれば、大幅な円安とみなされていた水準である。近年、大きな構造変化が生じ、為替の均衡レートが円安方向に大きくジャンプしているのではないか。2022年はそこに内外金利差の急拡大が加わったから、急激な円安が進んだのではないか。そして再び超円安が繰り返すのではないか。それが本稿のテーマである。
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BNPパリバ証券 河野龍太郎:強欲資本主義の時代は本当に終わるのか? -個人主義からコミュニティの時代へ-
No.1004 (2023年5月19日)
「強欲」と言えば、1987年公開の映画『ウォール街』で、マイケル・ダグラス演じるゴードン・ゲッコーが「強欲はよいことだ」と語るシーンが印象的です。この発言は、後にインサイダー取引で有罪判決を受けたアイヴァン・ボウスキー氏の発言「強欲に問題はない。このことも知ってほしい。強欲は健全だと私は思う。どんなに強欲であっても、気分良くいることはできる」を翻案したものと言われています。功利主義的個人主義の考え方では、社会全体の利益は、各個人の利益を合計したものなので、強欲はともあれ、利己心は望ましいとされますが、1980年代以降、あらゆるところで行き過ぎが起こりました。今週は欧州出張のため、通常のWeekly Economic Reportはお休みです。以下は、2023年5月13日号の週刊東洋経済で掲載された書評を加筆・修正したものです。
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