河野 龍太郎 Weekly Economic Report

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Photo by Kazutoshi Sumitomo

 

出版のお知らせ『成長の臨界 「飽和資本主義」はどこへ向かうのか』


慶應義塾大学出版会より、7月15日に発売されました。ぜひご覧ください。

本書で扱うテーマを紹介した「はじめに」(PDF: 約0.6MB)をご覧いただけます。

 

第1章 第三次グローバリゼーションの光と影

第2章 分配の歪みがもたらす低成長と低金利

第3章 日本の長期停滞の真因

第4章 イノベーションと生産性のジレンマ

第5章 超低金利政策・再考

第6章 公的債務の政治経済学

第7章 「一強基軸通貨」ドル体制のゆらぎ ――国際通貨覇権の攻防

終 章 よりよき社会をめざして

 

詳細は こちら(慶應義塾大学出版会のリンク:新しいウィンドウで開きます)

Amazon楽天ブックス、ほか全国の書店にてお求めください。

 

 

最近のレポート

 

BNPパリバ証券 河野龍太郎: 10年目を迎える物価安定目標の評価と課題 -アコードと2%インフレ・ターゲットをどう見直すか-

No.981 (2022年11月25日)

政府・日本銀行の共同声明で、2%の物価安定目標が設定され、金融政策運営においてインフレ・ターゲティングが導入されてから来年1月で10 年を迎える。今回のWeekly Economic Reportでは、日本におけるインフレ・ターゲティングのこの10年の評価と今後の課題について論じる。

Q1:10年間の異次元緩和の大実験で何が分かったか?
Q2:ゼロ金利制約の下で、2%インフレ目標を導入することは適切だったか?
Q3:2%インフレは物価安定と整合的なのか?
Q4:数字に拘り過ぎることが、持続的な物価安定を損なうのではないか?
Q5:2%インフレ目標は為替安定のために必要か?
Q6:共同声明をどう見直すべきか?
Q7:日銀新総裁に望むことは?

 

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BNPパリバ証券 河野龍太郎: 自己家畜化という選択圧と人類の行方 -進化生物学が示すミクロとマクロの非連続性-

No.980 (2022年11月18日)

「アダム・スミスは市場主義の始祖」という評価が適切ではないことは、これまでのレポートでも何度か論じてきました。確かに『国富論』では、人々の利己心が発揮され、「見えざる手」の下、分業と資本蓄積が進み、社会が繁栄すると論じました。しかし、それに先立つ『道徳感情論』では、人間には、他者の感情を自分の心の中に写し取り、それと同じ感情を自分の中に引き起こそうとする「共感」の能力があり、それが社会の秩序と繁栄をもたらしたと論じていました。あくまで『国富論』の世界の前提に『道徳感情論』があります(『国富論』の発表後も『道徳感情論』の改定が続けられ、『国富論』で意見が変わったわけではありません)。

スミスの共感の概念は、近年、生物進化学などの新分野の研究にもつながっていますが、私は、その考えが財政健全化にも役立つのではないかと、長く注目してきました。利己的な合理的経済人を前提とする経済学では、「財政健全化が進まないのは、メリットを享受するのが将来世代で、現世代は負担を甘受するだけだから、世代間の協調は働かない」と説明します。しかし、進化生物学の最新の研究成果を見ると、むしろ利他的傾向を持つ集団が生き残り、人類は進化を遂げてきました。現在も人類は進化を続けていると生物進化学は教えるのですが、だとすると、利他的傾向が強く、長期的思考を持ち合わせ、例えば財政健全化などに適切に対応する種族が生き残り、短期的思考に支配され、将来世代の所得を食い潰すような種族の存続が危ぶまれるということです。

それが、拙著『成長の臨界』で論じた仮説ですが、この話には、実は続きがあります。一言でいうと、集団間の競争に有利なように淘汰圧が働き、集団内で利他性の高い個体が優位性を持つという生物進化学の知見を経済学のモデルにも取り込む必要があるのではないか、ということです。今回ご紹介するのは、進化人類学の一冊ですが、私の仮説と親和性を持つ考えが、随所に見られます。2022年10月8日号の週刊東洋経済への寄稿を修正・加筆したものです。

 

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BNPパリバ証券 河野龍太郎: 日銀の金融政策の4つのシナリオ  -賃金上昇で政策修正か、グローバル不況で政策修正見送りか-

No.979 (2022年11月11日)

日本でも賃上げの機運が広がってきた。140円台の円安は、輸入物価上昇を通じ、家計の実質所得を大きく抑制するが、一方で、輸出企業の業績を大きく押し上げ、過去最高益となる企業も少なくない。実質賃金の目減りを補う賃上げ原資は既に準備されている。インフレ率が3%台に乗せる中、連合は、春闘に向け、5%の賃上げ要求(≒定期昇給2%弱+ベースアップ3%強)を打ち出している。因みに、定期昇給とは、個々人の年齢や勤続年数による昇給であり、ベースアップは全社員の給与水準を引き上げるものである。

最近、日銀は、安定的な2%インフレ目標の達成には、賃上げが不可欠と主張するようになった(以前は、物価が上がれば賃金も上がるとしていた)。5%の賃上げはハードルがあまりに高いとしても、一定程度の賃上げが実現すれば、新体制の下、日銀の政策修正は可能となるのだろうか。ただ、グローバル経済には、大きな問題が立ち塞がる。インフレ鎮静が見通せず、利上げの継続を余儀なくされる欧米では、リセッション・リスクが高まっている。そのことは、日本の大企業経営者に大幅な賃上げを躊躇させると同時に、日銀の政策修正にも大きな影響をもたらす。今回のWeekly Economic Reportでは、日銀の金融政策の新たなシナリオをご紹介する。

 

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